このような疑問に答えます。
食事介助は簡単なように見えて実はチェックポイントがたくさんあります。
例えばですが、
ってなったことありませんかね?それは食事介助のやり方が間違っているかもです。
本記事では食事介助の注意点を解説していきます。
また、注意点がわかることで無意識でやっていた食事介助の見直しにもなり、より良いケアを行うことが出来ます。
僕は現役の介護福祉士として働いて7年目になります。Twitterかまたり(@kamatarikun)
詳しい経緯はプロフィールに書いています。➡︎プロフィール
では早速説明していきますね!
食事介助の注意点
食事介助は結論:自分がいつも食事をしている際の姿勢にいかに近づけるかが重要になってきます。
つまるところ、自分が自然に行っている食事行為の基本的な動作を補ってあげればOK。
その事を念頭に入れた注意点はこんな感じ。
食事介助の注意点
- 基本姿勢
- 嚥下確認
- 口腔ケア
この3つですね。
順に説明していきます。
基本姿勢
基本姿勢は以下の2つに分けて解説していきます。
- 椅子(車椅子)の場合
- ベッド上の場合
では、椅子(車椅子)での姿勢から説明しますね。
椅子、車椅子に座っている際
まずは椅子(車椅子)に座っている場合ですが、チェック項目は
- 深く腰を掛けているか
- 軽い前傾姿勢であるか
- 身体とテーブルに一つ拳程度の間隔を開けているか
この3つです。
ぶっちゃけ正しい姿勢の食事はこれだけでクリア。
またこの際には、しっかりとテーブルの高さも気をつけていきましょう。目安は大体利用者の鳩尾程度の位置が理想です。
自力で座れない利用者にはその人にあったクッションなどを脇に入れてあげるのも効果的になります。
細かい事ですが車椅子でもフットレストから足を下ろして地面に下ろすようにすると前傾姿勢がとりやすいのでオススメ。
リクライニング車椅子の場合
リクライニング車椅子の角度の目安は大体90度ぐらいが理想とされていますが、僕はそうは思いません。
先ほどの自分に置き換えてみて考えると普通に食べにくくないですかね?
感覚的にも角度は60〜80度くらいを保つとベスト。
また普通の車椅子と違いフットレストに足を乗せましょう。
車椅子から滑落してしまう場合があるため体を安定するためにもそれは必要になります。
車椅子での姿勢が取りにくい場合は車椅子が利用者に合っていないケースも考えられるので、その場合は車椅子を変えることも検討しましょう。
車椅子の選び方はこちらの記事を参考にしてください➡︎介護における利用者の車椅子の選び方のポイントって?
ベッド上の際
ベッドで食事する場合はほぼリクライニングの車椅子の場合と同様です。
後頭部に枕より少し高いクッションを入れたりするのも食事を取りやすくする際に有効です。
姿勢が保ちにくい場合は細長いクッションを背中に入れて安定させるのもアリです。
とにかく自分がベッドでご飯を食べる時はどういう体勢が食べやすいだろう?と考えることがケアの根本ですね。
嚥下確認
嚥下確認は利用者が飲み込んだら次の一口を介助するということですね。
ポイントは
- 一口の大きさを大きくしない
- 飲み込んだ事をしっかりと確認する
この2つになります。
一口の大きさを大きくしすぎない
ついつい食事介助は急ぎがち。
- 食事介助をする利用者が大勢いる
- 急がないと他の業務が終わらない
などなど。本っっっっっっっ当に食事介助を焦る気持ちはわかります、僕もそうだから。
次やることを考えて急いでスプーンにご飯をてんこ盛りにして、利用者の口に入りきらなくてこぼれる。
多くの介護職が経験したと思います。
ですがあまり急ぎすぎると逆に飲み込めずにむせたりして、遅くなってしまうこともあります。
『急がば回れ』を意識して食事介助していきましょう。
飲み込んだ事をしっかりと確認する
飲み込んだ事をしっかりと確認することは非常に重要。
確認せずに次の一口を入れてしまうと、窒息の恐れがあります。
ポイントは喉仏がしっかりと上に挙がったのを確認してからですね。
立ちながらの食事介助が良くないとされている理由には、喉仏が見えにくいからという意味も含まれています。
また嚥下を確認してからではないと、むせる原因になります。
食事をする前の口腔ケア
食事を食べる前の口腔ケアは意外と忘れがち。ですが重要なチェック項目です。
食事前の口腔内には様々な雑菌が繁殖しているのでそのまま食べると炎症などのリスクがあります。
例えば寝起きの時ってめっちゃ口臭くなりませんか?あれ実は最近が繁殖しまくっているのがニオイの原因なんですね。(ワイ、めっちゃ臭い)
そのぐらい口腔内は雑菌が繁殖しやすい環境にあります。なので清潔保持はかなり重要。
理想は歯ブラシや口腔ケア用のスポンジで清潔にする事ですが難しい場合は、うがいだけでもいいので口の中をきれいにする事が優先です。
また食後の口腔ケアも雑菌の繁殖を抑えることに有効です。
正しい食事介助で得られるメリット
次に食事介助での得られるメリットはこちら。
- 誤嚥性肺炎のリスクが低くなる
- 自分の身も守れる
- 残存機能の維持・向上
順に解説していきます。
んなこた、分かっとるわ!って方は”まとめ”にスクロールしてもOKです
誤嚥性肺炎のリスクが低くなる
やはり食事の一番のリスクはこの誤嚥性肺炎になりますね。
老人の死亡の原因がもっとも多いのがこの誤嚥性肺炎。
医療法人社団 白水会では肺炎を原因とした65歳以上の死亡率が96%と、非常に高い結果が出ています。
肺炎はがんや心疾患の次に多い死亡原因です。
口腔ケアによる雑菌の繁殖を抑えることで、誤嚥性肺炎を抑えることが出来ます。
また、むせることで誤嚥性肺炎になってしまう為、正しい姿勢での食事も大きなメリットになります。
自分の身も守れる
自分の身も守れるというのは、リスクマネジメントの面でも言えます。
介護職をしていると利用者が、誤嚥性肺炎や他の病気になった時に自分に原因があると思ってしまうことが結構あります。
介護職は人の命を預かる仕事のため精神的な負担が大きいです。
気になりすぎて家に帰ってから『自分が原因じゃないかな、大丈夫かな?』と考えたりすることもしばしば。
少しでも自分をケアしつつ、利用者のケアをするためにも正しい介助の知識は必要です。
そのため正しく食事を摂ってもらう事には、自分の身を守ることにも繋がります。
正しく食事介助をしてリスクを軽減していきましょう。
リスクマネジメントの記事はこちら。
『介護』リスクマネジメントが重要な3つの理由
残存機能の維持
食事は人間の三大欲求でもあります。
人間は欲求を満たせるとQOLを向上することができます。
✔️QOLとは?
クオリティ・オブ・ライフの略。直訳すると『生活の質』という意味。つまりただ生きるのではなく、より良く生きるという考え方です。
QOLとは、僕らで親しみやすく言うならモチベーションってヤツですね。
人間は環境動物なので自分が自分らしく入れない環境だと、どんどん生きるモチベーションが低下します。
『生きる』モチベーションが低下すると、動けなくなったり何にもやる気が起きなくなります。
そうすると身体機能も落ちていき、人間らしい生活ができなくなってしまいます。
食事を正しく摂ることは生活を維持、体の機能の維持をする事にも繋がると言うワケですね。
まとめ:正直難しい部分もある
食事介助をまとめるとこんな感じです。
- 自分が食べる時と同じように介助
- 食べる前の口の中は細菌だらけなので要注意
- 焦らずにゆっくり介助
- 人間は『食べる』ことで生活の質が格段に上がる
ですね。
ですが正直これらの事項を理解しているけれど行えてない介護者が多数だと思います。
例えば食事介助の際に2人いっぺんに食事介助をせざるを得ない状況が介護現場では当然のようにあります。
そうすると必然的に利用者は正しい姿勢を取れなくなってしまいますし、事故の元にもなります。
それはやはり人手不足によるところが大きいです。
ですが現在の介護職員の人手不足や施設の状況をいきなり変えることはやはり難しい。
少しでも事故を減らせるように個人個人で対策を取っていくことが非常に大切になりますね。
介護職の人手不足の原因とコレからどうなるかはこの記事で解説しているのでよろしければお読みください➡︎介護業界の人手不足の理由と対策とは?『これからの未来』
ではこの辺で!