- どこからがプライバシー侵害なのか?
- そもそも介護におけるプライバシーとは何か?
- プライバシーについて詳しく知りたい
このような疑問に答えます。
介護職として勤めていると
誰しも利用者の『プライバシーの問題』に、ぶつかったことがあると思います。
僕も最初は『プライバシー』というものに
ふわっとした認識しかありませんでした。
ぶっちゃけ、教科書や参考書で、理解した気になっており
排泄介助時にはカーテンを閉めるなどの、基本的なことしかわかってなかったんです…。
いや、教科書通りのことがわかればいいんじゃないの?と思いますが
根本的な理解をしていないと、イレギュラーには対処できません。
なので、働いた当初は、プライバシーについてかなり悩んだ経験があります。
ですが、長く介護職として働くうちに徐々に『プライバシー』とは何か?を自分なりに噛み砕いて理解していったので
介護におけるプライバシーについて悩んでいる方は、本記事を読んで参考にしてくださると嬉しいです。
現役の介護福祉士として働いて7年目になります。
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では、早速いってみましょう〜!
プライバシーの侵害とは?
結論から書くと、『利用者の私生活』を許可なく他人に見せることがプライバシーの侵害になってしまいます。
というのも、天下のwiki様には、こうあります。
プライバシー(英: privacy)は、私生活上の事柄をみだりに公開されない法的な保障と権利である。
つまり、よくプライバシーの問題で言われる排泄時にはカーテンや扉を閉めるのは
『利用者の日常生活』を他の人に見せてしまう事が、プライバシー侵害に当たるというワケです。
こう考えると、どこまでがプライバシー侵害に当たってしまうのか?が考えやすいので、オススメです。
プライバシーの観点は3つ
プライバシーの侵害をしない為にも
より深く、根本的に理解するために、大事な観点は3つです。
プライバシーについての大事な観点
- 羞恥心の配慮
- 主観を理解する
- 個人情報とプライバシーの違い
上記の3つ。
順に解説していきますね。
羞恥心の配慮
プライバシーの問題は、よく『羞恥心』という言葉で説明されます。
僕ら介護職は、利用者が『恥ずかしい』と思ってしまうようなことを避けるように配慮しなくてはいけません。
具体的なプライバシー侵害の例をあげると、以下の通り。
- オムツ交換や着衣交換の際に、ベット周りのカーテンを開けたままにしている。
- 利用者や家族のこと、家族構成・職歴・病歴などの情報を他の利用者に聞こえるように話をしている。
- 認知症や失語症の方のことを他の利用者に「あの人は、何も分からないから話しかけても無駄だよ」と話をしている。
- 入浴介助時に全裸のまま放置してしまっている
などですね。
具体例をみると分かる通り
利用者(本人)と介助者(介護職)以外の、他人(第三者)が干渉する場合に、『プライバシー』が生まれます。
誰しも知らない人に裸を見られたり、自分のことを悪く言われるのは嫌ですよね。
そういった第三者の目線を考えて介助をすることが、羞恥心の配慮であり、より良いケアであるといえます。
主観によって違うことを理解する
プライバシーと一口にいっても、それには本人の主観も判断基準になることを理解しておきましょう。
なぜなら、そうしないとプライバシーとはどういったものか、混乱してしまうから。
例えるなら、露出狂に、お前裸で恥ずかしくないの?と問うのは愚問ですよね。(例えが悪くてすいません)
自分からしてみたら恥ずかしい行為ですが、相手にとっては違います。
なので、利用者が他の利用者にも伝えていいよ、とOKを出した情報(自分は以前、大手会社に勤務していた等)は
本人が自慢したかったり、話を聞いてもらいたい場合もあるので
個人情報は本人次第で、伝えていい場合もあることを理解しておくと
臨機応変に対応できて
混乱したり、判断に迷うことがなくなりますよ。
個人情報とプライバシーの違い
個人情報と、プライバシーの違いを理解しておきましょう。
よく個人情報とプライバシーはごちゃ混ぜになりがちです。
厳密には
- 個人情報
- プライバシー
本人の氏名、生年月日、住所などの記述等により「その人」だと認識できる情報。
個人や家庭内の私事・私生活。個人の秘密にしたいこと。また、それが他人から干渉・侵害を受けない権利。
上記のような違いがあります。
噛み砕くと、
酢昆布がめちゃくちゃ好きだけど恥ずかしいので「嫌い」ということになっている
この場合
Aさんは氏名なので個人情報。
『実は酢昆布がめっちゃ好き』というのは、プライバシーに当たります。
こういった個人情報とプライバシーのそもそもの違いを理解してことも大切です。
プライバシーを守らないことで罰せられることも
社会福祉士及介護福祉士法の中には
正当な理由なく、その業務で知り得た人の秘密を漏らしてはならない
とあり、違反すると一年以下の罰金、または30万円以下の罰金もあります。
実例としてはヘルパーの方が、うっかり個人情報を他の利用者に漏洩してしまい、実際に訴えられたケースも。
一生懸命働いているのに、悪気がないことで訴えられたら嫌ですよね。
なので、3つの観点を意識した、プライバシーの根本的な理解をしておくといいと思います。
プライバシーと3つの観点のまとめ
プライバシーとはどういったものか?をまとめるとこんな感じ。
- 利用者の日常生活を他人に見せていないかを意識する
- 本人がOKなら、言ってもいい情報がある
- 個人情報とプライバシーの違いを理解しておく
ですね。
判断が難しい場合や、プライバシーの問題かどうかがわかりにくい場合は
上記に当てはまっているかを考えると、問題解決ができますので参考にしてください〜。
施設的にプライバシーを守るのが難しいケースもある
正直、プライバシーを守ることが環境的に難しい場合があります。
それは、『従来型の施設の場合』ですね。
従来型の施設はプライバシー保護が難しい
従来型の施設はそもそも多人数の職員で、多人数の利用者を介助します。
なので、従来型は効率が重視されます。
例えば、入浴介助などはレーン作業のように行われることも。
すると「裸を他人に見られたくない」という羞恥心に配慮するのは、どうしても難しくなってしまいますよね。
そこで新しく『プライバシーの保護』や『個人の尊重』を重視して出来たのがユニット型の施設になります。
ユニット型は、従来型の施設と異なり
- 従来型:効率重視
- ユニット型:個人の尊重を重視
になります。
ユニット型がどういった施設かは、下記の記事で解説しています。
➡︎ユニット型特養は大変!?働く際のメリット・デメリットを解説。
もしあなたがプライバシーを理解した上で、問題が解決しない場合は
環境によるものかもしれません。
環境が原因の場合は
少しでもプライバシーを保護したり、羞恥心に配慮した介護を行う為に
施設内に委員会などを設置し、ケアの統一化をして、施設全体で改善していきましょう。
介護のプライバシーについて:まとめ
プライバシーについては、実際に働いていると本当に細かく問題が出てきます。
自分では判断がつかず、混乱してしまった時は
本記事でまとめた、プライバシーの3つの観点を参考にしてみてください。
プライバシーを理解することで、個人を尊重したより良い介護を行うことができますよ。
本記事がプライバシーについて悩んでいる、悩んだことのあるかもしれないあなたの参考になれば幸いです!
では今回はこの辺で
ここまで読んでくださり、ありがとうございますm(_ _)m