このような悩みの方に答えます。
僕は現役の介護福祉士として働いて7年目になります。Twitterかまたり(@kamatarikun)
認知症ケアの施設では五年ほど働いていました。
在宅介護をしている方で特に困っている理由で一番多いのが認知症になってしまった身内の対応ですよね。
夜中に徘徊したり、ご飯を食べたと思ったらすぐに忘れてしまいご飯を催促…というのはよく聞く話ですよね。
この記事を読めば認知症の理解が深まり、認知症の方への対応の仕方がわかるので日々のストレスを少し減らせます。
- 認知症とは
- 認知症の予防
- 認知症の早期発見ポイント
- 認知症の対応の仕方
では早速本題に移りますね。
認知症の対応はどうしたらいいのか?早期発見や症状を遅らせるには?
そもそも認知症とはなんなのか?というと日本神経学会では認知症とは
「一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態をいい、それが意識障害がないときに見られる」と定義しています。
ちょっと難しいですよね(笑)
つまり、認知症は脳細胞の活動の低下によって日常生活が困難になる状態です。
認知症=物忘れのイメージですが、認知症は理解力や判断力にも大きく影響します。
認知症自体にも色々ありますが、主に認知症は大きく三つに分かれます。
三大認知症とは?
- アルツハイマー型認知症
- レビー小体型認知症
- 脳血管性認知症
この三つの認知症を三大認知症と言います。
アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)
認知症のうち最も多いとされているのがアルツハイマー型認知症で、全体の半数以上ともいわれています。
諸説はありますが、脳にたんぱく質が異常にたまり脳細胞の損傷、神経伝達物質が減少します。
これにより脳全体が萎縮して引き起こされるのがアルツハイマー型認知症です。
個人差は大きいですが、主な症状は物忘れなどの記憶障害、時間や場所などの認識が低下する見当識障害などですね。
レビー小体型認知症
アルツハイマー型認知症に次いで多いとされているのがレビー小体型認知症です。
レビー小体という特殊なたんぱく質が脳内に生じることで発症するのがレビー小体型認知症です。
他の認知症と同じく物忘れなどの記憶障害や見当識障害がみられます。さらにパーキンソン症状や幻視、自律神経症状、
個人差にもよりますが、初期は認知機能の低下よりも手足の震えなどの症状が表れるようです。
脳血管性認知症
脳卒中(脳梗塞、脳出血など)による、脳の血管の詰まりや破れから生じる病気によって発症してしまう認知症を脳血管性認知症と呼んでいます。
アルツハイマー型認知症と似た症状も多いですが、脳細胞の損傷によって身体麻痺や言語障害を伴うこともあります。
脳のダメージによる為、感情のコントロールができずに攻撃的な態度になりやすいといったこともあります。
認知症予防
そもそもなぜ治療ではなく、なぜ予防なのかというと
認知症には明確な治療法がないからです。
あくまでも進行を遅くすることを治療としています。もちろん認知症に対する薬もいくつかありますがそのいくつもが
症状の改善しかできません。
その為、日々の生活習慣によって進行を遅らせることが最も有効な手段です。例えば
- バランス良い食事を心がける
- 適度な運動
- 人と話す習慣を作る
などですね。順に説明します。
①バランス良い食事を心がける
アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症は、生活習慣病との関連が強いためそれらを予防することは間接的な認知症予防ともいえます。
低塩分・低糖質の食事は動脈硬化や脳血管障害のリスクを下げることに繋がります。
あまりやりすぎも良くないですが、有効な手段と言えますね。
②適度な運動
適度な運動は脳にも適度な刺激を与えるので認知症の予防にも繋がるでしょう。
『特に指先の運動は脳の運動』と呼ばれるくらいなので取り入れるいいですね。
もともと好きな趣味があれば趣味に没頭できる環境を整えるのも有効な手段と言えます。
③人と話す習慣を作る
個人的にはこれが一番重要だと考えています。
やはり人と話す習慣がなかったり、家に一人の時間が長いとどうしても認知症状が進んでしまいがちです。
僕らも仕事がなかったりすると『あれ?今日は何曜日だっけ』となること、ありますよね。
なのでどうしても家族が家にいる時間が少ない間は、人と話すためにデイサービスなどの利用をオススメします。
デイサービスの利用には利用料の負担が少なくなる介護保険が使えます。もしよろしければこちらの記事も参考にしてください。『必読』介護保険って?対象となる人や方法を詳しく説明!『解説』
認知症の早期発見のポイント
下記は認知症の早期発見のポイントです。
一つでも当てはまるとかなり認知症の症状の可能性が高まるので注意してください。
- 同じことを何回も言ったり聞いたりする
- 自分の物が盗まれたと言う
- いつも通りの行動ができない
- 夜中に急に出かける
- 置き忘れやしまい忘れが目立つ
- 人の名前や物の名前が出にくくなってしまった
- ささいなことで人が変わったように怒りっぽくなってしまった
認知症を早期発見することは、後々の本人と家族の悩みや負担が深刻になる前に軽減できるので重要です。
その為『あれ?なんかおかしいな?」と気付いたら周りにまずは相談してみましょう。
認知症の対応はどうしたらいいのか?
では具体的な認知症の行動をどういうように対応したら良いのか?という点ですね。
まず認知症の症状は中核症状と周辺症状に分かれます。
中核症状とは
- 記憶障害
- 見当識障害
- 失認・失行・失語
- 実行機能障害・判断障害
などがあります。
この中核症状によって起こるのが周辺症状と言います。
周辺症状はかなりあります。代表的なのはこちらですね。
- 徘徊
- 異食
- 幻覚・妄想
- 暴言・暴力
この周辺症状というのが、皆さんがよく聞く認知症の症状ですね。
ではこの認知症の周辺症状の具体的な対処法や認知症に対する接し方などを説明していきます。
周辺症状に対して
周辺症状はランダムに行われるのではなく、本人の意思によって行われているということを念頭に起きます。
ついつい
と思うことがありますよね。
しかし、これらの周辺症状には本人の考えや気持ちがあって初めて行動しています。
そのため何か目的を持って行動をしている本人に向かって否定的な言葉や力尽くで抑える、というのは得策ではありません。
なるべく自尊心が傷つかないような配慮も必要です。
暴言や暴力が現れた場合、一番よくない対応は、力や言葉で対抗することです。抑えつけたり、叱りつけたりすることは状況の改善にはなりません。日頃のコミュニケーションでも、ご本人が不安を募らせないよう丁寧に繰り返し伝えましょう。
周辺症状に対しての具体的な対応
では主な周辺症状の具体的な対応を紹介していきます。
徘徊
警察庁の発表では、徘徊による行方不明者は年間1万5千人以上となり大きな社会問題となっています。
例えばご本人が前に住んでいた家を今の家だと勘違いして、出て行ってしまうケースなどがあります。
これは以前の記憶によって当時の家を思い出しその「家」に帰るため歩き続けるというものです。
このようにご本人にとっては理由も目的もあるため、これを止めるのはなかなか至難の技です。
そのため満足するまで歩かせる・・・というのも一つの手ですが、ぶっちゃけ体力持たないですし大変ですよね。
なので他の目的を作ることをオススメします。
本人はどうしても家に帰ることしか頭になくなってしまっているので、他の目的を作ることによってそっちに注意を向けないようにする、というわけですね。
例えば趣味だったり、おやつなどで気を引くのもアリですね。
異食
無機物を食べ物と間違って食べてしまうことを異食と言います。
これはいくら説明しても本人は食べ物だと思ってしまっているため説明してもその場では解っても繰り返してしまうことがほとんどです。
しかし無機物を口に入れて窒息などの原因にもなりかねますので、本人の目の届くところや手の届くところに小物を置かないようにしましょう。
幻覚・妄想
「財布を盗られた」「家族から悪口を言われている」といった被害妄想も認知症の症状の一つです。
この被害妄想の多くは、認知症の症状による苦しみと周囲への不満などが影響して表れます。
周囲とのすれ違いがこのような幻覚や妄想を起こさせてしまいます。
なのでご本人にとって現状に対する抗議や、助けを求めるメッセージの意味合いが含まれています。
このような場合は強く否定せず、『うん、うん』と話を聞いて本人を落ち着かせることを優先にしましょう。
暴言・暴力
認知症と診断された方の誰もが暴言や暴力を起こすわけではありません。
暴力・暴言に至る要因は様々で、やはり不安によって感情のコントロールが効かなくなってしまい、結果として暴言や暴力に至ることがほとんどです。
そのため暴言や暴力が現れた場合、力づくで抑えたり、強く言い返すのは逆効果になってしまいます。
日頃のコミュニケーションによって、『こういうことをされると嫌なんだ』というのを把握しておき、ご本人が不安を募らせないようにして丁寧に繰り返し伝えましょう。
誰かに助けを求める
しかしこのような介護を一人で行っているとどうしても限界がきます。
認知症には認知症ケア専門の資格があります。
- 認知症ケア専門士
- 認知症ライフパートナー
- 認知症介助士
などがあります。
なので専門の施設や病院などの外部組織に頼る事も非常に大切です。
認知症の対応をしていると同じことを繰り返し言われたり、周辺症状によって行われた行為の後片付けをしなくてはいけません。
そのため介護をしている自分が心に病を患ってしまうケースも少なくありません。
そういった自分の身を守るためにも介護保険や使えるサービスを使って、一人の時間を作り休息することも大切です。
身内の介護に対して心の整理の付け方などこの記事でも説明しているので現在悩んでいる方はこちらもお読みください。
ではこの辺で!
ここまで読んでくださりありがとうございました!