このような疑問に答えます。
✔️本記事のテーマ
- 見守りって何?
- 見守りするべき点は?
上記の順で解説していきます。
介護現場における見守りの仕方がわからない場合は
本記事を読んでおけばOK。
僕も介護職を始めた当時は、見守りの仕方がわからず先輩に怒られてばかりいました(笑)
ですが、経験を重ねるうちに、本記事の内容を意識するようになり
見守りとはどういったことか、が理解できるようになりました。
僕は現役の介護福祉士として働いて7年目になります。
Twitterかまたり(@kamatarikun)
詳しくはプロフィールへどうぞ〜。
それでは早速いってみましょう!!
見守りとは?
見守りには2つほど意味があります。
それは
- 利用者を守る意味
- 自分(介助者)を守る意味
です。
以下にて説明しますね。
利用者を守る意味
見守りには当然、利用者を守る意味があります。
どれだけ利用者のことを注意深く見ていても、事故が起きてしまっては
見守る意味がありません。
やはり、安全が十分確保された上で、サービスが成り立っています。
あの天下のマクドナルドでも、『異物混入した事件』の際には347億円もの赤字を出したほど。
利用者は安全が保証されてるからこそ、施設を利用しています。
介護分野において
安全面の配慮は、切っても切り離せない部分です。
自分(介助者)を守る意味
見守りには事故による利用者のケガを防ぐ意味合いの他にも
自分を守る意味も含まれています。
と、いうのも適切な見守りを行っていないと
利用者のご家族から訴訟に発展するパターンもあるから。
実際の訴訟例をいくつか紹介しますね。
訴訟例①
利用者が介護施設において転倒・骨折し、その結果、転倒事故から約2年後に死亡した。裁判所は、普段と異なる不安定な歩行の危険性があり、職員としては、利用者のもとを離れる際に、せめて、利用者が落ち着いて待機指示を守れるか否か等の見通しだけは事前に確認しなくてはならないのに、これを怠ったものであったと認定し、施設側の責任を認めました。
訴訟例②
平成23年9月に、特別養護老人ホームの短期入所者(当時79歳、男性)が、深夜にトイレに行こうとして転倒し、平成26年6月に死亡した。利用者は、パーキンソン症候群等の影響でふらつきによる転倒の危険性が高く、事故の直前にも転倒事故を起こしており、利用当初から一人でトイレに行こうとしていた。施設側はナースコールを使うよう求めていたが、入居者本人に聞き入れてもらえない状況で、声掛けを繰り返したとしても不十分で、離床センサーの設置が義務付けられていたとして、施設の安全配慮義務違反を認めました。
訴訟例③
平成26年1月に、デイサービスの利用者(当時76歳、女性)が、午後0時39分頃に施設を抜け出し、同日夜頃、約1.5キロメートル離れた畑の中において、低体温症により死亡した。利用者には徘徊癖があり、施設もこれを認識している以上、事故当日も帰宅願望があり、直前にも非常口に向かっていたとして、動静を見守るべき義務(注視義務)に違反したとして、債務不履行及び使用者責任を認めました。
最後の訴訟例に関しては、2870万8945円もの金額が認容されています。
このように見守り不足によって起きた事故によって訴訟が起きた事例は
少なくありません。
また国民の4人に1人が65歳以上という超高齢社会に突入し、さらに介護事故訴訟は増加すると推察できます。
介護現場における見守りは不可欠だと言えますよね。
介護現場で見守るべき部分
ここまでで読んでくださった方は
と、思うかもしれませんが、厳密に言えばそうではありません。
人が人らしく生きるためには移動や食事などを行うため
介護事故は必ず起きます。
なので、見守りにおいて、一番意識しなくてはいけないことは
防げる事故と、防げない事故を見極める為にも
利用者の日々の状態を、観察することにあります。
状態を観察することで、事故を防げる
利用者の日々の状態を観察することは、事故防止の基本にもなってきます。
なぜならば、利用者の日々の状態がわからないと、考えられるリスクが浮かばないから。
例えるなら、知り合いのお酒をすごく飲む人がいるなら
脂肪肝やアルコール性肝炎など、肝臓の病気になりやすいリスクがわかります。
それはその知り合いが、お酒が好きなことを知っているから考えられるリスクであり
その人を知らない人には、見た目では考えられないリスクですよね。
考えられる選択肢を増やす為にも
日々の状態や行動を観察し、把握することは非常に大切になってきます。
とはいえ、事故は防げる事故と、防げない事故がある
ですが記述した通り、介護事故には防げる事故と防げない事故があります。
僕らが生きていく上で、食事や移動をせずに生きることは
ちょっと難しいですよね。
なので生きていく上で大切な、移動における転倒・転落の事故が
介護現場では一番多いと言われています。(介護事故の6割以上)
その上で、
- 歩く時につまづかないように、靴のサイズが合っているか確認する
- 利用者の動線に物が置かれていないかを確認する
など、日々の状態を観察し、防げる事故が起こる因子を取り除くことで
不必要な事故を無くし、より利用者へ安心した暮らしを提供することができますよね。
利用者の日々の状態を観察する見守りとは?
ではそんな利用者の日々の状態を観察する、というのはどういったことか?
結論:その利用者の日常を見ることですね。
具体的には、
- 利用者の身体機能
- 利用者の嚥下状態
- 利用者のニーズ
上記の3つ。
以下にて解説していきますね。
見守るべき部分①利用者の身体機能
利用者の身体機能はもちろん見るべき点になります。
すなわち、皆さんご存知のADL(Activities of Daily Living)ですね。
ADLとは介護を受ける人が、「どれだけ自分だけで生活できるか」を示す指標として用いられています。
自分で着替えられたり、自分で排泄を行える等、
そういった日常生活における動作をどこまでできるかを見ることで
- この利用者は、長時間歩けずに転んでしまう
- この利用者は、排泄が終わっても自分ではズボンが上げれず倒れてしまう
などの、身体機能を把握しておくことで
防げる事故がわかり、安全を最大限確保することが可能になるというワケですね。
見守るべき部分②利用者の嚥下状態
利用者の嚥下状態は、本当に気をつけて見守りを行わなくてはいけない部分です。
理由としては窒息や誤嚥性肺炎の可能性を少なくする為、ですね。
厚生労働省が発表したデータによると、誤嚥性肺炎が原因による死亡者数は2018年時点で3万8,462人になっています。
これはなんと、肺炎患者の7割を占めているんです。
誤嚥性肺炎は、嚥下機能(飲み込む力)が衰えることで、
本来、口から食道に入るべきものが気管に入ってしまう為起こるのが原因の一つ、と言われています。
そういった事故だけでなく、病気等を防ぐことも見守りの一環です。
僕の経験上、よく食事の際に『食べている時は静かだし何もないよな』と
油断して目を離してしまう介護職がいましたが
食事こそ事故が起こりやすい、日常動作です。
なので飲み込みや食べるスピードなど、注意深く見るようにしましょう。
ちなみに食事介助についてはこちらでも解説しています
➡︎【介護】食事介助で気をつけるべき点『理由も詳しく解説』
見守るべき部分③利用者のニーズ
最後に見落としがちですが、利用者のニーズを把握することが見守りにおいて非常に大切です。
なぜなら本人が行動するパターンが見えてくるから。
以前僕はこんな体験をしました。
普段からよく会話していた男性の利用者Tさんが、何気なく
と、言っていたことがありました。
その時は『見たいですよね、今の時期はきれいに咲いていますもんね』程度の会話で済んでいました。
しかし、その週末にTさんは一人で施設から離棟。
僕は休みだったので、他の職員から大慌てで連絡が入ってきました。
幸いにもすぐにTさんは発見され、無事に保護されました。
その保護された場所はお察しの通り、近くの公園です。
その公園に咲いている桜の木の下のベンチで
近所の奥様方と、仲良く談笑してやがったされていたのです。
ですがそのときに僕は、
と、思いました。
このような実体験からも分かる通り、
利用者のニーズ(欲求)を把握することで、利用者の行動を
先読みすることができます。
ニーズを把握する為には、コミュニケーションだったり、他の利用者との会話内容だったり、日々の行動からも
この利用者が何を求めているか、がわかります。
そうすることで、利用者の行動を先読みすることができれば、起こる事故も予測することができます。
見守り、という言葉のイメージによって『見るだけ』だと思いがちですが
一人ひとりとコミュニケーションをとり
利用者のニーズを把握することも、立派な見守りになります。
介護現場における見守り:まとめ
よく介護現場において、未経験の方に向かって『見守りだけはできるよね』、と任せる施設を僕は何度もみてきました
ですが、上記で述べた見守るべき部分がわからない見守りに、さほど意味はないと僕は考えています。
日々の状態を観察しなくてはいけない見守りこそ、経験者でも難しい介助の一つだと思います。
また、本記事で述べた項目を意識して、見守りを行うとその人にあった適切なケアがすぐ分かり
利用者からも信頼されるようになっていきます。
そうした利用者の日常を見ることで得られるメリットは、数多くありますね。
ぜひ、明日から意識してみてください〜!
この記事が参考になれば幸いです。
今回はこのへんで!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました