僕は現役の介護福祉士として働いて7年目になります。
Twitterかまたり(@kamatarikun)
車椅子にはご存知の方も多いと思いますが、かなり種類があります。
大まかにこの二種類に分けられます。
- 自走式
- 介助式
↪︎利用者自身が手で漕いで利用するタイプ
↪︎介助者が後ろから押して利用するタイプ
更にここから細かく分けられるため、適切な車椅子の選び方はさらに難しいと言えます。
- 車椅子の部位の名前
- 車椅子の種類
- 車椅子を選ぶポイント
- 車椅子が合っていないとどうなってしまうか
本記事を読めばどのような車椅子を利用者に選べばいいか、迷うことはなくなります。
『車椅子の部位、種類は知っているよ』という方は、目次より”車椅子を選ぶポイント”まで読み飛ばしてしまってOKです。
では早速、本題に移りますね
車椅子の部位の名前
参照元:テクノエイド協会様
車椅子には部位に正式な名称があります。
ご存知の方も多いとは思いますが、一応おさらいまでに簡単に説明しますね。
また、介助に必要のない部分は説明を省略していますのでご了承ください。
- 1 『シート』
- 2 『バックサポート』
- 3、4 『アームサポート』
- 5、6、7、8 『レッグサポート・フットサポート』
- 9 『ハンドリム』
- 10 『ブレーキ』
- 11 『キャスター』12 『駆動輪』
- 15 『ティッピングレバー』
- 16 『サイドガード』
- 19 『手押しハンドル・介助ブレーキ』
利用者が座る部分です。座り心地や快適さを左右する重要な部分ですね。
座ったときに背中を支える部分です。一般的にいうなら”背もたれ”ですね。
利用者が座ったときに、腕を置く部分ですね。僕らも椅子にこれがあると楽ですよね。
足首からふくらはぎ周辺を支える部分をレッグサポート、足を乗せるプレートの部分をフットサポートといいます。ココが一体になっている車椅子もありますね。
自走できるように、駆動輪の外側についている持ち手の部分です。駆動輪よりも一回り小さく設計されています。
駆動輪に部品を押し付け、回転しないようにして止まります。
前輪が小さく、後輪が大きいのが一般的な車椅子です。前輪の部分はキャスターと呼ばれ、360度回転します。後輪は「駆動輪」と呼ばれます。最近ではノーパンクタイヤなど、さまざまな種類があります。
介護者のちょうど足元にあり、前輪を浮かせる際に踏み込む部分です。段差を乗り越えるときなどに便利です。
利用者の衣服がタイヤに当たったり、巻き込まれたりすることを防ぎます。
介護者が車椅子を押すときに持つ部分です。介助用車椅子にはブレーキがついています。
ざっくり説明するとこんな感じです。
これだけ部位の名前が多いと
『あの部分、そんな名前だったんだ〜』って思いますよね。
僕も初めて知った時びっくりしました笑
では次に車椅子の種類についてですね。
車椅子の種類
車椅子の種類はこんな感じです。
このように一般的な車椅子の他にもたくさんの種類があります。
こちらもざっくりですが、説明していきますね。
モジュール(モジュラー)型 車椅子
モジュール型は、ひじ掛けを上げたり、フットレストを外すこともできます。
背もたれや座面の調整も身体に合わせることの出来るタイプです。
移乗の際にも、ひじ掛けやフットレストを取り外すことによって横移動ができるため、あまり力を入れずに移乗することができます。
移乗に関しての記事はこちらになりますね。
『介護の基礎』移乗の正しいやり方って?コツも全て解説します
リクライニング型、チルト型車いす
全介助の利用者が主に使用していることが多いです。
- リクライニング型
- チルト型
背もたれが倒れるタイプ。背もたれの角度を自由に調整できるので、ゆっくりくつろぐことが出来ます。
背もたれと座面の共角度が変わるタイプ。太ももにかかる体重の負担を、背中や腰へ分散させることができます。
どちらも、フラットにできるタイプがあります。
その為、障がいなどにより姿勢の変換が必要な方やバランス機能が低下している方にも向いています。
後は値段が張ってしまいあまり見ることは少ないですが電動車椅子がありますね。
操作は、主に手元にあるジョイスティックを動かして操作します。前進だけでなく、ターンすることも可能です。
さらに電動車椅子の中には電動アシスト車椅子、と呼ばれるものがあります。
仕組みはほぼ電動車椅子みたいなものですが、介助者が押すとアシストしてくれます。
さらに逆に介助者が引くと動きを抑制してくれるなど大変便利です。イメージは電動自転車のような感じですね。
利用者に合った車椅子を選ぶポイント

では車椅子に色々な種類があるということを知っていただけたと思うので
いよいよ利用者に合った車椅子を選ぶポイントになります。
ポイントは以下の通りです。
- 利用者の体格に合った車椅子を選ぶ
- 車椅子を利用する環境、生活スタイルに合わせる
- 座位姿勢がよく取れるか
ですね。
詳しく説明していきます。
選び方のポイント① 利用者の体格に合った車椅子を選ぶ
利用者の体にフィットし、ストレスなく使えることが一番重要です。
個人差はありますが、ひざの裏から足裏までの長さ+5センチ(足こぎをする場合は、+0~2センチ程度)。
イメージとしては膝を曲げたときに、握り拳が一個分入るくらいがベストですね。
さらにシートの幅は、座ったときの臀部の広さ+3~5センチ足した長さが適しているといわれています。
それに合わせて背もたれを肩甲骨の下まであわせると、なおいいですね。
とはいえ、目安は目安なので個人差はあります。
最終的にはその利用者に合わせて調節しましょう。
選び方のポイント② 利用する環境、生活スタイルに合わせる
これは施設内の環境、また利用者の日々の生活に合わせた車椅子、ということになります。
利用する環境を考慮する
- バリアフリーが整っているか
- 通路の幅は広いか
- 段差は多いのか
など、車椅子を使用する環境によって、必要な機能や大きさは異なります。
また、車椅子以外の介護用品と併用する場合、ほかの介護用品の機能を妨げることがないかなども考慮する必要があります。

生活スタイルを合わせる
例えば日中は、自走する体力があり日々外出する機会が多いなら、それに合わせた車椅子を調節する場合がいいですね。
漕ぎやすいようにタイヤに手を伸ばしやすくさせたり、さらにそのタイヤをノーパンクタイヤにするとなおいいですね。
長時間座っていても疲れにくいものを選びましょう。
車椅子を利用している利用者の多くは、生活の大部分でついつい頼ってしまいますが
利用者の身体状況を把握し、自力で「できること」を減らさないことが大切です。
自走できる力がある人には自走用の車椅子を使っていただくとかですね。
そうすることで残存機能の維持・向上にも繋がります。
選び方のポイント③ 座位姿勢がよく取れるか
広いほうがゆったり座れて楽と思われがちですが、姿勢の保持が難しくなったり、操作がしづらくなったりすることがあります。
利用者の身体や体格に合ったものを選ぶことは、適切な座位姿勢を保つために非常に大切です。
ですが座位姿勢を保つことだけ意識してはいけません。
僕たちにも言えることですが、ずっと同じ姿勢でいることは難しいですよね。
なので適切な姿勢を保つ、ということは偏った姿勢で固定化しないようにすることです。
背もたれの高さや座幅、肘掛けの高さなど、きちんと見合ったものを選び、様々な姿勢を取ることができるようにするのが非常に大切です。
またご自身での操作ができるか?体力はあるかないか?なども踏まえて選んでください。
利用者に合った車椅子を選ばないとどうなるか

利用者に車椅子が合っていないと咀嚼や嚥下に関わる
車椅子が合っていないと※誤嚥性肺炎になってしまう可能性が高まります
食べ物や飲み物、あるいは唾液などを飲み込むことを嚥下(えんげ)といいます。
嚥下機能が低下すると、食べ物などが口から気管に入ってしまいます。これが誤嚥(ごえん)です。
誤嚥性肺炎は、細菌が唾液や食べ物などと一緒に誤嚥され、気管支や肺に入ることで発症する疾患です。
70歳以上の肺炎の約80%が誤嚥性肺炎と言われています。
姿勢が悪いとこの誤嚥性肺炎の原因である、食べ物が気管に入りやすくなってしまいます。
また車椅子があっていない事で背中が丸まってしまう(円背)と、余計にリスクが高くなってしまうので注意しましょう。
利用者に車椅子が合っていないと褥瘡の原因になる
利用者は座面の奥にお尻を引くと、座面の前端がふくらはぎに当たってしまい、嫌がります。
それを避けるためにお尻を前方にすべらせて座ることを仙骨座りと言います。
仙骨座りは、褥瘡(床ずれ)の原因になります。
仙骨座りを防ぐにはフットサポートの高さを上げるなどをして、しっかりお尻を深く座ることが大切です。
しかしフットサポートが高すぎると膝が突き上げられ、骨盤~体幹が後方に押し倒されて仙骨座りが起こり易くなります。
フットサポートが低すぎても、足をフットサポートに届かせようとお尻を前方にすべらせてしまいます。
解決方法としては本人が座りやすい足の角度を、深く座った状態で測り、調節することをオススメします。
車椅子が利用者に合っていないと転倒のリスクがある
体の小柄の方がタイヤが大きく、フットサポートにも足が届かない車椅子では安全は保証されてるとは言えませんよね。
そのような車椅子だと利用者が自分で漕ごうとして転倒してしまうリスクが高まります。
車椅子からの滑落はとても危険です。
骨折の原因にもなり本人のADLが著しく低下する恐れがあります。
怪我なく安全に生活してもらえるように注意しましょう。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今は車いすは利用者の体の一部になっています。
そのためしっかりとしてケアを行うためにも、まず道具の見直しから入ることも大切になります。
この記事を読んで、少しでも
『〇〇さんの車椅子はあっているのかな?』
と、参考にしてくれたら嬉しいです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!